2005/12/26

過大な期待は衝撃も深い

皆さん、クリスマスはいかがお過ごしになりましたか。 我が家では毎年特に何もせず、淡々と過ごします。 今年のクリスマスディナーも、餃子と（友人からいただいた）韓国海苔というメニューでした。

それにしても寒い日が続きますね。 東京の１２月って、こんなに寒かったっけ、という１ヶ月でした。 まだまだ厳冬は続きそうです。皆さん健康には十分に留意してください。

さて 10/23 付けの当コラムで女子プロゴルファー宮里藍について少し書きました。 その後彼女はアメリカでのプロツアー・テストに合格し、 来年はアメリカを主戦場にすることが決まりました。 しかしそれを伝える日本での報道は、少々疑問を抱かせるものでした。

断トツ１位で合格したからでしょうか、 来年のアメリカでの大活躍を期待させる記事のオンパレード。 １年前に同じテストでトップ合格したポーラ・クリーマーが、今年ツアーで何勝もしたことを 例に挙げ、宮里もきっと来年アメリカで勝利を挙げられる、と断言するような内容の報道でした。

甘いです。そんなに上手くいくはずがありません。 外国に出て１年間を過ごすのです。 試合が終わったら次の試合地に飛び、空港でレンタカーを借り、 ホテルにチェックインし、自分の口に合いそうな食事を出すレストランを探し・・といった 生活になります。誰からもチヤホヤされません。 今まで味わったことのないストレスも感じることでしょう。 ２０歳の女の子が、そういった環境で、日本にいたときと同じ力を発揮できる可能性 は決して高くありません。発揮できたとしてもツアーで優勝するのは難しいのに。

年間３０試合に出場したとして、ベスト１０に入るのが４〜５回、そのうち２回は２位か３位、 ぐらいの成績だったら、万々歳ではないでしょうか。 １試合でも優勝すればそれに越したことはありませんが、できて当然といった予測をしたら、 藍ちゃんには酷です。

確かに世間はヒーロー、ヒロインの出現を待ち望んでいて、 ちょっと凄い選手が現れると、マスコミは必要以上に騒ぎ立て、それによって 実力以上の英雄に祭り上げられてしまう、というケースがよく起こります。

１２月２５日、中山競馬場で有馬記念というレースが行われました。 競馬ファンでなくとも、ディープインパクトという馬の名前は聞いたことがありますよね。 メディアでは「史上最強馬」「いま世界でいちばん強い馬」といった表現がウジャウジャ。 それに乗せられたのか、多くの競馬ファンも、有馬記念でディープインパクトが圧勝する ことを期待していたようです。

しかし私の周囲にいる長年の競馬ファンは、みな口をそろえて 「ディープインパクトは勝てない」と言っていました。 「デビューから７連勝、すべて圧勝、とは言っても、同じ世代の３歳馬たちを 相手にしてきただけ。今回は経験豊富な年長馬たちとの初の対戦。 今までのように簡単にはいかない」という見方でした。

そして結果は２着。普通だったら「３歳馬が２着なら立派。誉めていい成績」のようですが、 何せ期待値があまりに高かっただけに、関係者も、ファンも、マスコミも、まるで 惨敗したかのようなレース後のコメントでした。ちょっとおかしいと思いませんか？　 メディアがディープインパクトを英雄化しすぎただけの話です。

ビジネスにおいても、今回の過大評価事例を他山の石として考えるべきでしょう。 我々は周囲の評価や評判に惑わされることなく、 冷静にデータを分析し、自分の判断力を信じて物事を評価することを心がけたいと思います。

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