2006/6/4

せっかく素質があるのに

いよいよ始まりますね、ワールドカップ。 日本はどの程度まで行けるんでしょうか。 ＴＶのコメンテーターの話を聞いていても、 期待を含んだ予想ばかりで実際のところはよく分かりません。 まあ世界ランキングから推測すれば、 決勝トーナメント（ベスト１６）に進めるかギリギリの線、 というのが妥当な評価のようです。

高校時代はよくサッカーを見ていました。 ちょうど日本リーグが人気絶頂のころで、 釜本・杉山といったＦＷが花の存在でした。 私が高校３年のとき、メキシコ五輪で銅メダルという快挙。 ウチの高校には当時珍しかった芝生のグラウンドがあったので、 五輪前に全日本が練習をしに来て、 全校的に授業が中止になり全員で練習を見ていました。 ＭＦの小城（おぎ）選手にサインをもらったこと、よく覚えています。

見るスポーツとしてはボクシングも大好きでした。 小学校高学年の頃から興味を持ち、中学校に入るとＴＶはボクシング専門。 当時は毎晩のようにＴＶ中継される試合があり家に帰るのが楽しみでした。 中学校は後楽園に近かったので、 毎月１回ぐらいの割合で後楽園ホールにナマの試合を観戦に行っていました。 タバコの煙がモウモウと立ちのぼる通路にコワモテのおじさんがウヨウヨ。 大人の世界にいる雰囲気でしたね。

関光徳というフェザー級ボクサー（知ってる人、少ないだろうなあ）の大大大ファンで、 何度も後楽園ホールで見ました。 メキシコで世界タイトルに挑戦した試合は、 日本でも中継されたのですが時差の関係で真昼間。 高校の近くにあったソバ屋で授業をさぼってＴＶ観戦し、 ヴィセンテ・サルティヴァルにＫＯ負けした瞬間、 お代わりした２杯目のカケソバの器に大粒の涙がポトリ （おお、美しい青春の１ページ）。

３０歳ぐらいになった頃の私の夢は、 本場ラスベガスでナマの試合を観戦すること。 その夢を１９９４年１１月に叶えたときの感激は 今でも忘れられません。

ところで今は亀田三兄弟が大人気ですね。 長男の亀田興毅が今度世界タイトル戦をやるとのこと。 彼のファイトを最初にＴＶで観たときにビックリしました。 大口を叩く不良のアンチャン、というイメージからは想像がつかないほど、 基本に忠実でとてもいいボクシングをするなあ、という印象でした。

しかしこのままでは大成しないでしょうね。 最大の加害者はＴＶ局。 とにかく視聴率を稼ぐためにヒーローを作りたいという一心で、 勝てそうな相手をタイから持ってきて、 会場を（これまでボクシングなど観たことがないような）若い女性で埋めて、 当然ながらＫＯ勝ちさせてキャーキャー言わせ・・・ 無理矢理に偶像化しようとしていて最悪です。

前々回の試合は、明らかなローブロー（反則パンチ）でＫＯ勝ちしたのですが、 ＫＯシーンのＶＴＲは一度しか流しませんでした。 普通なら何度も流すのに、「こりゃヤバい。視聴者に見せない方がいい」 と判断したのでしょう。

で、そのＴＶ局の作戦に完全に乗せられてしまっている亀田陣営。 短期的にはそれでいいのかも知れませんが、 トップの座に長く居つづけられるか、となると現状では難しいと思います。 嬌声などのない真のボクシングファンが観に来る会場で、 強い選手と対戦し、苦戦し（あるいは負けて）、 そこから自分の課題を見つけそれを克服していく、 そういう真のボクサーになっていってほしいし、 それだけの素質は十分にあると思うのですが・・・残念だなあ。

弟の方は試合に勝った後にリング上でカラオケなど歌う始末。 あれじゃ真のボクシングファンは観戦になんか行かないですよ。 ＴＶ局は視聴率を取るためなら、 ボクシングを冒涜するようなことでも平気でやるんですね。 最近では、裏の世界と深いつながりがあると報道されている 女性占い師も平気で起用し続けていますし。

それにしてもＴＶ局が持つ影響力の大きさ、 あるいはＴＶを通じて有名人になることの 魔力の大きさを改めて感じさせられます。

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