2006/7/16

これぞ城、を見たぞ

アイルランド報告その２です。

のんびり親切

ほんとうに牧歌的というかのんびりしているというか、首都のダブリンでさえ時間の経ちかたが東京とは違います。でも人々の動きが遅いというのではなく、物事をとてもていねいにやるという感じです。食事もゆっくりと・・・そういえばマクドナルドを数件見た以外、ファストフードの店はまったく見かけませんでした。

Ｂ＆Ｂ

今回は友人夫妻と我々夫婦、計４人でのドライブ旅行でしたが、宿泊はすべてベッド＆ブレックファスト（Ｂ＆Ｂ）。日本流に言えば「朝食つきの民宿」です。

アイルランドを旅する人の多くはＢ＆Ｂを利用します。ビジネスホテルのような経営方法をとっているところもあれば、本当に家族だけでやっている民宿そのものみたいなところもありました。後者の場合、その家の人たち（特にご主人）がとても親切で、ドライブのプラン作りを手伝ってくれたり観光ポイントを教えてくれたりします。

プディング

Ｂ＆Ｂは朝食付き。前夜あるいは当日の朝に客のリクエストを聞き、朝食を作ってくれます。

基本的なのは Full Irish Breakfast つまり「全部のせ朝定食」で、トースト、目玉焼き、ソーセージ、ベーコン、焼きトマト、それにプディングです。このプディングがくせ者。右の写真の手前に見える茶色と黒の丸いものです。名前からは想像できないその中味はとは？　 ParkingIreland

実はこれはソーセージ。玉葱やオートミールを混ぜてあり、味も微妙で、しかも舌触りが好きになれませんでした。色が２種類ありますが、黒い方は「豚の血」が混ざっています。つまりブラッド・ソーセージなのです。そう聞くと余計に食欲減退。１日目だけはトライしましたが、その後はどのＢ＆Ｂに泊まっても私の朝食のリクエストは「目玉焼き、ソーセージ、焼きトマト」だけ。ベーコンもあまりに塩辛いので遠慮しました。でも朝食時に飲む紅茶はどのＢ＆Ｂでも美味しかったですね。

これぞ本物

歴史にはほとんど興味のない私ですが、アイルランドのコングという町にあるアシュフォード城には大感激。１３世紀に修道院として建てられたこの素晴らしい建物は、現在は高級ホテルとして使われています。

午前１０時から午後９時までは一人５ユーロ（750円）の入場料がかかる、という情報を事前に入手していた我々は、宿泊前日の夜９時すぎに車で入っていきました。夏時間を採用していることもあり日没は１０時２０分ごろ。まだ十分に明るいのです。

アシュフォード城は大きな湖に囲まれていて、さらに前庭がゴルフ場になっているというとてつもない敷地の広さ。門を入ると一方通行の道路がゴルフ場の中をとおり、５分ほどで大きな素晴らしいお城が視界に入ってきます。その雄大さは言葉に表せません。芝生の上に座って、ボケーっとしてその建物を見ているだけで心が洗われる気がしてきます。

翌朝、我々は再びアシュフォード城を訪れました。もちろん入場料を取られないよう１０時前に。湖に注ぐ川にかけられた橋を渡ると建物の入口があるのですが、その橋の上で初老のおじさんが釣りをしています。「何が釣れるの？」「サケとマスだよ。きょうはアタリが悪いけどね」しばらく雑談していると、そのおじさんが「そこに置いてあるモーターボート、オレのだけど、遊覧クルーズでもどう？」「いくらなの？」「一人１０ユーロでいいよ。定期的に出ている遊覧船は１５ユーロだからオレの方が得だよ」そこで我々４人、相談した結果おじさんのツアーに参加することに。

いやあ、本当に素晴らしいボートツアーでした。大きな湖（実際には大西洋とつながっている）をノンビリと小一時間ほどクルージング。天気もよく、いろいろな角度から見るアシュフォード城は最高でした。ヨーロッパの歴史の深さとアイルランドの自然の豊かさを感じました。　 AshfordCastle

それにしても、このおじさんは誰なんでしょう。お城（ホテル）の入口にある橋の上で、ボートに乗ってくれる客を待っているのだと思いますが、無断で釣りなどできないでしょうし、ましてや小型とはいえボートを停めてあるのですから、このお城に認められている存在なのでしょう。こんな環境で趣味と実益を兼ねた生活を送れるなんて・・・「引退するとき教えてね。後継者が必要でしょ」と伝えておきました。

現在は高級ホテルになっていると書きましたが、ボートのおじさん曰く「いちばん安い部屋で１泊一人５００ユーロ（75,000円）ぐらいかな。高いって？　でも朝食つきだよ」とニヤリ。ちなみに今回の我々の宿泊費は６泊合計で一人２００ユーロ（30,000円）。こっちだって朝食つきだよ。

むすび

私にとって初めてのヨーロッパでしたが、このアイルランドという国を選んでよかったと心から思います。自然が豊富で、少し郊外に出ると道の両側には馬・羊・牛の姿が見えるようなのどかさで、（下戸の私以外の３人にとっては）ギネス・ビールが美味しくて、人々は親切で心優しくて。

２週間にわたり私の旅行記にお付き合いいただきましたが、まだまだ書き足りないほどです。レストランの主人から聞いた面白い話、初めての乗馬体験、競馬場（２回しか行かなかった）での様々な出来事、帰りの空港でのあわや帰国できないかもという大トラブルの発生、等々。また機会がありましたらお話したいと思います。到着初日は雨に見舞われましたが、その後は好天に恵まれ充実した１週間の旅でした。

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