2010/8/1

私を正してくれた名馬よ

７月上旬、オグリキャップ死亡 というニュースが流れました。

競馬大好き、の私ですが、 個々の競走馬に強い思い入れを持つことはなく、 過去の名馬が亡くなっても「ふーん」ぐらいの 感情しか沸いてきません。

今回も、葬儀に全国から７００人のファンが つめかけたそうですが、 「そりゃご苦労さま」程度でしょう。

通常は。

もしオグリキャップでなかったら。

でも、この馬は特別なのです。

別に競走馬としての彼が好きだったわけではありません。 実は彼は私の恩人（恩馬？）なのです。

３０代の頃、私は年に２〜３回、 自信のあるレースに１万円以上を賭けていました。 外れることが多かったものの、時々的中して 回収率はまずまず。

そして1990年の有馬記念。 それまで長い間競馬をやってきて、 これほど自信のあるレースはありませんでした。 もう、この馬が勝つしか考えられない。 あらゆる角度から検討しても、 絶対にこの馬が勝つ！ もし外れたら 競馬をやめてもいいぐらい だ（競馬好きが１年に２０回ぐらいは 吐く言葉）。その馬の名は・・・

４枠７番　メジロアルダン

当時は馬券の種類も少なかったので、 この馬の単勝と４枠からの枠連、 合計で十万円の投資。 １レースあたりの購入金額としては過去最高額。 だって１２０％の自信ですもの。

そしてわがメジロアルダンは・・・

１０着。惨敗。

私は、もう立ち直れないほどガックリ きていたことでしょう。

もし、その有馬記念を勝ったのがオグリキャップ でなかったら。

そしてオグリが私のアルダンと同じ４枠でなかったら。

そう、枠連３−４が的中したのです。 オグリが勝ってくれたおかげで。

そのとき私は考えました。 これは競馬の神様、いやオグリキャップからの メッセージなのだ。

競馬に絶対なんかない。あんたの１２０％の自信なんて 単なる幻想だよ。お金はノシつけて返してあげるから、 もうこんなバカみたいな賭け方は やめなさい。

翌年から賭け方が一変しました。 どんな大レースであっても、３千円以上を 一つのレースに投資することはほぼ皆無。 今では上限が2500円に下がりました。デフレの時代だし。

賭け方が変わったというよりも、 競馬の位置づけが変わった、という表現が正しいかも知れません。 今では、ギャンブルの対象である以上に、 友人と楽しい時を過ごすための材料になっています。 多くの仲間を集め競馬をネタにしたゲームを主宰したり、 数人で競馬場へ行くときは「どんなグループ馬券 を買えば楽しいか」をあれこれ考えたり。

あのとき、もし私の十万円がパーになっていたら、 おそらく私はその負けを取り戻す べく年に何度も大きく賭けるハメに なっていたでしょう。 その結果を考えると・・・恐ろしい。

私をまっとうな道に導いてくれたオグリキャップには、 心から感謝しています。安らかに眠ってください。

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