2010/11/14

夢を与える世界なのに　

先週、ある芸能人の方とゆっくり お話する機会がありました。 私と同世代のベテラン女優で、 初対面だったのですが、 とても気さくな方で話が弾みました。

一般のビジネス界は不況に見舞われていますが、 芸能界も同様で、 皆さんとても苦労されているようです。 彼女から伺った話の一部を紹介すると・・・

【例１】有名な俳優が、 「えっ、そんな額で？」と 驚くような低いギャラでドラマに 出演した、といったような話を よく耳にする。

うーん、我々ＩＴ業界でもここ１〜２年、 「あの大企業がそんな低い額で受注するの？」 といった話が聞かれます。 どの業界も値下げ競争に明け暮れて、 自らの首を絞めているみたい。

【例２】ある有名俳優が、ある映画に 端役として出演した。 ところがその映画が不人気で 興行収入があがらなかった。 するとプロデューサーから 「ギャラは払えません。 勘弁してください」と言われた。

うーん、さすがにウチの業界では、 そんなひどい話はないなあ。 契約もきちんと交わしているし。 ただ、契約書があるのに 「値下げしてほしい」と要望された ことはあったなあ。

【例３】テレビドラマにしても、 ギャラ以外の制作費も 大幅に削減され、非常に苦しい。 でもチャチな衣装やセットを 用意することはできないので、 美術担当の現場は泣いているし、 下請の業者たちも苦しい状況。

これはその女優さんではなく、 同席してくださったテレビ局 の元美術担当責任者の方から伺いました。 二次請け、三次請けと厳しさが増していく 構造というのは、どの業界でも同じことですね。

各テレビ局も、企業の宣伝広告費削減の 影響を受け、お金をかけた番組が作れないので、 使い捨ての芸人たちをひな壇に並べ 「内輪の暴露話」で笑いと取る という安易な路線に走っている、 とその女優さんも嘆いていました。

【例４】芸能プロダクションの営業担当が 映画会社やテレビ局にタレントを 売り込みに行く・・・そんな 営業活動も、昔は普通にできたのに、 今は入館証がないと中に入れず、 プロデューサーたちと懇意になる機会も減り、 営業も苦労しているとのこと。

おお、我々の業界と同じじゃないの。 芸能界は特別な世界だと思っていたのに、 ちょっと意外だなあ。

芸能人は夢を売る商売だと思っているのですが、 何だか現実的かつ悲惨な話が多く、 しかも改善される方向に進むとは考えにくいとのことで、 ちょっと夢が砕かれてしまいました。

日本は元気を取り戻せるのでしょうか？ いや、 取り戻すために皆で頑張らなくては。

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