2011/5/29

アラブの大物が来たのに

数日前、珍しい体験をした方と お会いしました。その体験とは・・・

３月１１日の午後２時４６分。 その方はなんと福島第一原発の敷地内で 仕事をしていたのです。

すさまじい規模の地震で、彼の話に よると「ちょうど敷地内を歩いていたんだけど、 あまりに大きな揺れで立っていられなくなった。 そこで地面にしゃがんだり、 腹ばいになったりしようとしたが、 ころがってしまうんだ。 周囲にはしがみつく物もないし、 ただ地面を転がり回っているだけだった。 恐ろしく長時間に感じた」

彼は翌日の水素爆発時も敷地内にいたのですが、 「生きた心地がしなかった。 でも、どうにでもなれ、と割り切った気持ち になっていた」とのこと。 その方が発電所の敷地内にいた理由、 帰宅した（厳戒体制の発電所から出た）方法、 そして原発内で見聞きした事柄は 差し障りがあるので書けないのですが、 とにかく彼の人生の中で、 とてつもなく大きな二日間だったことでしょう。

「でもね」彼曰く「地面に立つことも、 座ることも、寝ることもできないような 規模の地震だったのに、 原子力発電自体は正常に止まった、 というのは凄いことだと思う。 津波で電源が全滅したのは 大問題だけど」

原発に関しては様々な意見があるのですが、 いずれ改めて書きたいと思っています。 いずれにせよ、ナマの話を聞かせて もらって、貴重な時間をすごしました。

ところで、また競馬の話題になるのですが、 きょう行われた日本ダービーにデボネアという 馬が出走していました。 その馬主は、ドバイの首長で、 アラブ首長国連邦の副大統領も兼務する シェイク・モハメド殿下。 彼の一家（マクトゥーム・ファミリー） は以前から競馬に携わっていて、 世界中に多くの競走馬を所有しています。

ドバイでは毎年３月にワールドカップという 世界最高賞金のレースも主催。 アラブでは法律で馬券の発売は禁止されているので、 賞金はすべて持ち出し、という 太っ腹な国（一家）なのです。

日本中央競馬会では一昨年９月に、 外国人が馬主になることを認めたのですが、 ドバイからの圧力があったのでは、 とも言われています。 当然モハメド殿下はすぐに馬主登録し、 以前から日本国内に所有していた牧場の 生産馬の馬主になりました。

そしてそのうちの１頭、デボネアが ダービーに出走する ことになり、急きょ来日した というわけです。

考えてみれば凄いことで、 自家用ジェットは持っているにしても、 日本ダービーに自分の馬が出るからと言って 一国の長がトンボ返りで来日してしまうなんて。 しかも（一説には４０人と言われる）ＳＰ軍団を引き連れて。 しかもデボネアは大して強い馬ではなく 勝つ見込みは小さかったのに。

ところでモハメド殿下は成田に降りたのかな。 調布飛行場だったら東京競馬場の近くなので 便利だけど、外国からの飛行機でも着陸 できるんだろうか。

我々の仲間内ではそんな話題も出ました。 どうでもいいことですけど。

残念ながら、デボネアは殿下が 期待したような走りは見せられませんでした。 強い馬ではないので仕方ありませんが。

でも原発の状況を考えると、 日本は今後、火力発電にかなり頼らなくてはならない訳で、 そのためには大量の原油が必要になります。 それを考えると、せっかくアラブの首脳が来日したのに、 競馬場だけの訪問に終わり、 日本の首脳と会談する機会が（プライベートな来日とは言え） なかったのは残念な気もします。

もしかしたらモハメド殿下の方が、 今の日本政府の首脳とは会う意味がない、 と思ったのかも。

だとしたらよけいに悲しいことですが。

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