2011/11/6

十年前は紅白を超えたが

２週間ほど前、珍しい業界の方と夕食を共にする機会を得ました。その業界とは・・・格闘技。

ご本人（Ａ氏）も以前はキックボクシングを初めとする格闘技の現役選手だったのですが、ここ十数年はジムを経営するかたわら、レフェリーとして K-1 等の多くの試合をさばいてきました。

私はボクシングは大ファンで、中学生の頃から毎月１回は後楽園ホールに通って試合を観戦していました。ガッツ石松がまだ鈴木有二という本名で前座試合に出ていたのも観ています。

大人になってからは、「本場ラスベガスで世界タイトルマッチを観る」ことが夢になり、1994年にそれが実現したときは天にも昇る気分になりました。ジョージ・フォアマンが45歳で世界王者に返り咲いた試合で、異様なほどに盛り上がったMGMホテルの会場の、あのゾクゾクした感じは今でも鮮烈な思い出です。

しかし K-1 や PRIDE といった格闘技やプロレスにはあまり興味がなく、テレビ観戦もしていませんでした。

今回食事を共にしたＡ氏には、冒頭で「すみません、ボクシングは好きなのですが、他の格闘技はちょっと・・」と正直にお伝えしたところ、とても分かりやすくお話してくださり、また様々な裏話を聞くことができました。

90年代後半から2000年代前半にかけて格闘技は隆盛を誇り、大晦日の夜は紅白歌合戦を上回るほどの視聴率を挙げたようですが、近年は人気が下火となり、テレビ中継も激減し、最近では K-1 選手へのファイトマネーの支払いも滞っているとのこと。実際にＡ氏も「未だ受け取っていないレフェリー代もかなりある」そうです。

人気下降の背景には、主催団体の分裂など複雑な内部事情があるようなのですが、差し障りがあるとのことで詳細な説明は聞くことができませんでした。

また私が強く感じたのは、ボクシング界も K-1 もテレビ業界に振り回されているのではないか、ということです。売り出したい選手用に、絶対に勝てそうな相手を海外から連れてきたり、海外から呼ぶジャッジ（採点者）に主催者が接待攻勢を仕掛けて日本人選手が有利になるよう働きかけたり・・・そんな話を聞くと、そのテレビ局お抱えのヒーローを作り上げることに必死になっているように思えます。

それで視聴率が上がっている間は殿様のように扱い、下がってきたら中継も打ち切りで、まるで選手をポイ捨て。

まあ、仕方ないんでしょうかねえ。

ちなみにＡ氏が経営するジムは、エクササイズ目的で通う一般人で賑わっているそうです。私も「もう少し絞った方がいいんじゃないですか。ぜひウチでトレーニングしてください」と誘われたのですが・・・・・笑って誤魔化しました。

ご意見・ご質問のある方は、ぜひメールでお寄せください。必ず返信します。
toshiki.karasawa@nifty.com
私の会社のアドレス宛でも構いません。なおお送りいただいたコメントは本ページで（お名前は出さずに）紹介させていただくこともありますのでご了承ください。