2012/2/12

事件好きのＴＶ局も沈黙

先週、私の友人が発行責任者を務める某週刊誌にスクープ記事が掲載されました。AKB48のあるメンバーの母親が少々破廉恥な罪で逮捕されたという内容。

発行日の前日、そのニュースがインターネット上で広まり大騒ぎに。当初はファンたちから「ガセネタだ」「ねつ造記事に違いない」といった声も上がったのですが、その後大手通信社が同じ内容の記事を「警視庁への取材で分かった」と断言して配信したため、事実だと判明。

今でも掲示板サイトではこのニュースが活発に取り上げられていますが、書き込みの多くは「AKBメンバー本人が悪いのではない」「がんばれ」「ずっと応援する」という温かい内容になっています。

今回、とても興味を持ったのは他のメディアの対応です。実は週刊誌の友人と発行日当日に電話で話した際、「テレビも新聞も絶対に報道しないよ」と断言していたのですが、その通りとなりました。

日経新聞の電子版では通信社からの短い記事がそのまま掲載されましたが、スキャンダル好きのワイドショーやスポーツ新聞はダンマリ。あの東スポなら大々的に報道するかな、と思っていたら、その予想も外れました。「あるスポーツ紙のネット版で掲載されたがすぐに削除された」という話も聞きましたが、実物を見ていないので定かではありません。

何らかの圧力がかかったのか、それとも今後の関係を考えて自主的に判断したのかは分かりません。しかしテレビ局は、AKB48と友好な関係を保っておかないと番組が制作できないのが現状でしょうし、やむを得ないのでしょうか。

「そもそもある中年女性が東京都の条例違反で逮捕された、というだけで、たまたま有名人の母親だったからといって取り上げるレベルの事件ではない」という言い訳は通用しないでしょう。過去には、どうでもいい事件を、有名芸能人の家族だからという理由で大きく取り上げた例はたくさんあるのですから。

いずれにせよ、週刊誌で大きく報じられ、その裏付け記事も通信社から配信され、インターネット上では大きく取り上げられているニュースを、まるで「なかったこと」のように振る舞うテレビ局の姿勢は疑問、というより滑稽にも思われます。

今後、AKB48が出演する番組では、共演者を初めスタジオの全員が今回の事件を知っていて、視聴者の多くも知っていて、それでも一言も触れない、という不自然な状況がずっと続いていくことになるのでしょうか。

AKBメンバー本人が「お騒がせしました。私はこれからも頑張ります」と元気に発言すれば、好感も得られるし不自然な状況も解決するのでしょうが、でも二十歳の女の子に自分の母親の破廉恥な事件について語らせるというのは、やや酷なような気もします。

事件そのものはどうでもいい話ですが、その後のマスコミの姿勢・対応という点ではとても興味深い今回のスクープ記事でした。

ご意見・ご質問のある方は、ぜひメールでお寄せください。必ず返信します。
toshiki.karasawa@nifty.com
私の会社のアドレス宛でも構いません。なおお送りいただいたコメントは本ページで（お名前は出さずに）紹介させていただくこともありますのでご了承ください。