2012/9/17

一つ間違えれば殺人集団

先週、私の大好きなNFL（米国プロフットボール・リーグ） が開幕しました。

今年応援するのは Philadelphia Eagles と San Francisco 49ers の２チーム。前者は以前からのファン。後者は私の 好きなプレーヤーの一人ランディ・モスが今年から（１年間の ブランクを経て）加入したので大いに期待しています。

ところでこのシーズンオフ、NFLでは 史上最大級の大きな スキャンダルが発覚しました。日本では あまり大きく報道されていないのですが、 とても興味ある出来事でした。

New Orleans Saints（以下「セインツ」）は、近年 好成績を残していて、2009年のシーズンでは チャンピオン（スーパーボウル優勝）に輝いた強豪チーム。

その09年にセインツに加入した守備コーチ が、とんでもない「ボーナスプログラム」を考案した ことが発覚したのです。

アメフトと言えば、激しい肉弾戦が特徴の一つ。 防具は着用しているものの、激しいタックルを 受ければ大怪我をすることもあります。

このコーチが考案したのは、「敵の中心選手 に激しいタックルを食らわせ、『担架で退場』させたり『その ゲームには戻って来られないような重傷』を 負わせたりしたら、報奨金を与える」というもの。

つまり意図的に相手の主力選手を怪我させたら ボーナス、という訳です。恐ろしい・・・

発案者はコーチでしたが、その報奨金は、コーチ および守備選手が自分たちのポケットマネーを 出し合って積み立てていたのです。 つまり守備チームぐるみでの暴力行為でした。

調査委員会が過去の試合のビデオを分析し、その 報奨金の対象となったプレーをいくつか発見したとのこと。 試合では明らかなラフ・プレーは反則を取られますが、 報奨金対象プレーは反則に取られたものが一つもなく、 「審判の目を盗んで、必要以上の激しいタックル」と いう巧妙なものでした。しかし 関与した選手たちの証言もあり、その全容がほぼ 明らかになりました。

セインツの監督（ヘッドコーチ）は、この報奨金システムの 運営には関与していなかったものの、知っていたのに 放置していた、と見なされました。

そしてコミッショナーが下した裁定は、発案者の 守備コーチは無期限出場停止、監督は今年１年間の 出場停止、主力選手の一人も同じく１年間の 出場停止、その他に何人かのコーチや選手が 数試合の出場停止となりました。 さらにセインツ球団には「向こう２年間、ドラフト ２巡目の指名権剥奪」処分も加わりました。

この処分は厳しすぎるという批判もあった ようですが、日本のプロスポーツと比較して コミッショナーの権限の強さが改めて示されました。

セインツは、監督を解雇せず、１年間 謹慎させて来年度には復帰させる方針のようです。 しかしこの事件の影響もあってか、 開幕２連敗という（ある意味予想どおりの）最悪 のスタートとなりました。

私が懸念したのは、「激しくぶつかると何かを 疑われはしないかと心配になって、タックルが 弱々しくなり、フットボールの醍醐味が薄れる」 ことでしたが、開幕してからの数試合を 録画で見る限り、その心配は杞憂に終わりそうです。

大きなスキャンダルがあっても米国でのNFLの人気 は相変わらず高く、今シーズンも激しい戦いが 期待できそうです。

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