2017/11/5

プロの記憶力に驚いた夏

【このコラムは、毎月第１日曜・第３日曜の２回、更新します】

もう11月。今年も残り２か月。歳を取るととても早く時が経つように感じます。

前回は、半年ぶりに訪れた飲食店の傘立てに家内が半年前に忘れた傘が残っていて驚いた件を書きました。実はそれに似た経験を今年の夏、福島で味わいました。

いつものギャンブル親父たち５人で福島競馬場に行き、土曜日の夜は居酒屋で食事した後、二次会へ行こうということになりました。

「去年行った店、覚えてる？」「覚えてるよ。まあまあだったんじゃない？」「じゃあ今年も行ってみよう」

確か女性が数人いるパブというかラウンジ的な店でした。でも店の名前すら覚えていません。当然場所も明確には思い出せません。何せ１回しか行ったことがない店です。

それでも熟年親父たちは、かすかに残った記憶を頼りに福島の町を10分ほど徘徊して何とかお店を見つけました。ああ、ここだここだ！

店に入り「こんにちは。５人だけど空いてる？」と聞くと「はい、どうぞ。いらっしゃいませ」

そして席について、おしぼりが出され、飲み物が運ばれてきて、腰を抜かすほど驚きました。

「こちらですよね」と見せられたのは、ウイスキーのボトル。そのタグには我々のメンバーの一人のニックネームが書かれていたのです。

１年前に一度来ただけで店の名前も覚えていないし、もちろんその名前でボトルを入れたのも誰も覚えていません。

それなのに店の女性は、我々の顔を見て「あのボトルの人たちだ」と思い出してくれたのです。毎日ボトルの整理をしながら、そのタグを見て我々の顔を思い出してくれていたのでしょうか。客の顔を覚えるのが仕事とはいえ、そのプロ根性には感服です。

「また来年来るからね」と言ったかもしれないけどそれはあくまで社交辞令。それをまともに信じていてくれていたのかなあ。

店の女性には「来年も来るって言ったでしょ。口先だけじゃないんだからね。」「俺たちは絶対に嘘つかないから」などと調子よく話す私たち。

「ここ、ホントにいい店だね。気に入った」「今年は11月の福島開催のときも来ようか」「そうしよう、そうしよう」「ボトル取っといてね。秋も必ず来るから」

で、９月になり10月になり・・・でも秋の福島ツアーを企画しようよって誰も言い出しません。結局は社交辞令に終わることになります。はい、口だけの親父たちです。

果たして来年の夏も我々のボトルを思い出してくれるでしょうか。

ご意見・ご質問のある方は、ぜひメールでお寄せください。必ず返信します。
toshiki.karasawa@nifty.com
私の会社のアドレス宛でも構いません。なおお送りいただいたコメントは本ページで（お名前は出さずに）紹介させていただくこともありますのでご了承ください。