2017/11/19

ずれ始めたのは私だった

【このコラムは、毎月第１日曜・第３日曜の２回、更新します】

先日、技術者たちと「上司への連絡や報告の手段」について話をしていた際、若手の一人から次のような意見が出されました。

「メールで報告するのはやや面倒くさい。お疲れ様ですに始まり、正しい敬語を使って文章を書く、というのは・・・『面倒だからいいか』という気持ちになってしまい、重要な報告が遅れてしまう可能性がある。LINEやチャットのような形で報告することができれば、もっと気軽に上司ともコミュニケーションできると思う」

それを聞いて私は「うーん、そういう時代になったのか」とつくづく感じました。

我々の世代は、ビジネス文書は堅苦しい形式できちんと紙に書くのが正しいという時代に育ちました。

やがて電子メールが登場し、取引先や上司への報告をメールで行うことができるようになり、その便利さを大いに享受しました。でも文末には「メールでたいへん失礼とは存じますが」という謝りの言葉を添えて。

そう、メールは「こんな簡便な方法を使って申し訳ありません」の対象だったのです。それが今では「堅苦しくて面倒」という対象になってしまったようです。

確かに技術者同士が技術関連の情報交換のツールとして対話・会話形式のアプリケーションを用いるというのは理解できます。

でも上司への報告にも同様のツールを使うというのはねえ・・・いずれは取引先の部長宛にもチャットで報告する時代になるのでしょうか。

このことを高校の同級生に話したら、諭されてしまいました。「お前は『世の中の標準がずれてきている』と思ってるだろ。でも違うよ。お前の基準がずれてるんだ。社会の標準は常に成長し変化しているのに、お前がそれについていかれずコースアウトし始めているんだよ」と。

うーん、そうなんだなあ、きっと。

さらに追い打ちをかけるような出来事が起こり、その思いがよけいに強くなりました。その話はまた次回に。

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