2018/8/5

世界的調教師の大ピンチ

【このコラムは、毎月第１日曜・第３日曜の２回、更新します】

先月の初め、競馬関係者・競馬ファンを驚かせるニュースが流れました。JRAの調教師・角居勝彦氏が酒気帯び運転で逮捕されたというものです。

現時点ではJRAから最終的な処分は発表されておらず、一時的に調教師資格を停止された状態が続いています。管理していた競走馬も一時的に別の調教師の元に預けられています。

かなり重いペナルティが予想されているのですが、果たして・・・

実は角居氏は日本ではトップの座にある調教師です。管理馬でダービー、天皇賞、有馬記念といった大レースを勝ち、さらに世界最高賞金のレースであるドバイワールドカップも制しています。米国でG1勝ちしたこともあり、まさに世界レベルで活躍しています。

しかも「引退した競走馬に豊かな余生を送らせる」という運動を主導し、障害者を対象とした乗馬の普及支援団体の活動にも力を入れている、人道派の調教師としても名を馳せています。

そんな角居氏が今年の初め「あと３年で競馬会を引退する」と突然発表しました。まだ54歳で、調教師として毎年のように（レースの賞金だけでも）１億円以上の収入を挙げ、さらに世界に羽ばたける存在だったのに。

引退するその驚きの理由は・・・稼業を継ぐため。母親が宗教団体の幹部を務めていて、その座を引き継ぐことを選んだとのこと。

順調に続けていたビジネスをあっさり捨てて別の道を歩くという決断には本当に驚きました。でも残り３年の間にさらなる名馬を育ててくれることを期待していたのですが、その矢先に酒気帯び運転で逮捕とは・・・

今の日本は「飲んだら乗るな」の考え方が徹底されてきましたね。ひと昔前だったら、たとえば夏のゴルフ場では昼食時にビールを飲んで「あと９ホールプレーして風呂に入れば、アルコールなんか飛んじゃうから帰りの運転は大丈夫だよ」と豪語する人もいました。でも今は車で来場する人は決して朝から飲まないのが普通になりました。（私はそもそも下戸なので関係ありませんけど）

酒気帯び運転への風当たりが強くなった今、果たしてJRAの裁定委員会が世界的な名調教師にどのような裁定を下すか、興味津々です。引退を表明したことが裁定に影響を与えなければいいのですが。

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