2018/9/17

年収２千万円でも生活苦

【このコラムは、毎月第１日曜・第３日曜の２回、更新します】

この１週間は仕事でニューヨークとサンフランシスコに行っていました。今回は、この両都市で見聞きしたこと、感じたことを書いてみたいと思います。

サンフランシスコで訪問した日系企業の社長からは人材の採用が難しいという悩みを伺いました。特にＩＴ技術者が不足しているそうで、東京と状況は同じようです。

ただ採用条件が東京とは決定的に異なるようで、社長曰く「スタンフォード等の一流大学でＩＴ技術を勉強した人は、たとえ新卒でも年俸10万ドル（１千万円強）ではなかなか採用できない」

そうなんだ。じゃあ技術力に自信のあるＩＴ技術者はサンフランシスコで仕事すればウハウハだなあ。

と思っていたら、翌日訪問した米国大手ＩＴ企業の方からは、技術者の給与が高騰している件について衝撃の話を聞きました。

「サンフランシスコでは『20万ドル（２千万円強）の貧困層」っていう言葉もあるんですよ。市内でアパートを借りようとすると月額５千ドル（50万円強）でも狭っ苦しい部屋になります。家族がいたりして広い部屋や一軒家を借りたければ、とんでもない家賃を払うことになります。さらに他の生活費も高騰しているので年収20万ドルでは優雅な生活は望めないんです」

私もある日の朝、ホテル近くのファミレス的レストランで朝食をとったのですが、スクランブルエッグ・ソーセージ・パケーキ２枚・コーヒーで、税金とチップを合わせると約２千円になりました。ガソリン代も十数年前の３倍になっていますし、この町での生活は大変そうだと感じました。

物価でいちばん驚いたのは野球場のビール。サンフランシスコ・ジャイアンツの試合を観に行ったのですが、球場内の売店の値段を見ると、ホットドッグは６ドル強なので少々高い程度なのに対し、ビールは（ブランドにより値段に差がありますが）なんと15ドル前後なのです。ビール１杯が1600円ねえ。どういうことなんでしょう。客には飲んでほしくないのでしょうか。

そう言えば綿アメやホットココアの売り子は場内を歩いていましたが、酒類の売り子は見かけませんでした。方針がよく分かりません。

面白かったのは、５回のイニングの合い間に行われたイベント。ワイン会社の提供で、大きなスクリーンにカップルが大写しになり、その二人がキスすればワインをプレゼントするというもの。

20組ぐらいのカップルが次から次へと写されたのですが、だいたいが60歳過ぎの熟年カップル。みな大胆にキスをして観客の喝采を浴びていました。唯一、アジア系の若いカップルだけは恥ずかしがってキスせず。

そして最後に大写しされたのは男性同士のカップル。いかにもそういう関係だと判断して選ばれたのでしょうが、当然、二人は大喜びで長いキスを交わしていました。観客も大喜び。サンフランシスコならではの雰囲気を味わえました。

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